乳歯をできるだけ残したいとの要望が高まっている現代、乳歯を保存することも強く希望する保護者は多い。乳歯は生理的に歯根吸収が進行して脱落するが、または交換期まで保存されてから抜去されるためか、歯根が長く残存した抜去乳歯を目にする機会は減少した。このことは、従来抜去乳歯を臨床研修に用いてきた、乳歯の歯内療法教育を困難にしている。

一方、既存の歯科実習用模型は、完成永久歯を模したもので、小児の歯の歯内療法実習に適した模型は未だない。また、小児歯科領域では、歯根吸収のわずかな乳歯や根尖が開大した幼若永久歯の解剖的形態を3次元的に理解し、これらを用いる治療法の実習は、小児歯科模型の機能・疾患・治療の教育研究にとって重要である。そこで演者らは、小児の天然歯を精密に再現した模型を製作することを目的に、天然歯のエックス線写真情報から、歯の構造を可視化し、これを観察するための画像や人工歯の作成へと進み、この人工歯を観察したのち、これを用いて根管治療実習を行い、その教材としての意義を検討したので報告する。

Anatomical-Model-1

資料ならびに方法
1.材料と機器
抜去歯;ヒト乳歯(歯根吸収がほとんどないもの)ならびに歯根未完成永久歯
データ収集;産業用マイクロフォーカスエックス線CT(μCT);SMX100CT®
(島津製作所)
デスクトップパソコン;Compaq 8200 Elite USDT PC®
(Hewlett-Packard Company)
3次元画像処理ソフトウェア; INTAGE Volume Editor®
(サイバネットシステム社)
積層造形システム(3Dプリンター);ProJet HD 3000®
(スリーディー・システムズ・ジャパン社)
造形材料;
紫外線硬化アクリル樹脂(デンタル模型